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「公共施設、減らして充実」

2025年3月22日の日本経済新聞に「公共施設、減らして充実」、「資金調達、5年で9割増」「岩手、県、市営の野球場統合 プロ野球開催にも対応」というタイトルとサブタイトルで記事が掲載されました。記事の内容は、老朽化した施設を集約して、より魅力的な施設に建て替えることです。事例としてあげられたのが、岩手県営と盛岡市営の2つの野球場を統合し、機能を充実させて来場者を増やしている内容でした。
全国には人口が増えていた1970年代に整備した学校や公民館、市民センターといった公共施設が多くあります。そして、現在、一斉に改修の時期を迎えてます。各自治体の工夫のしどころです。岩手では、盛岡市が築80年以上の旧市営球場の建て替えを検討していたところに、岩手県が加わりました。これにより両翼100メートルなどプロ野球公式戦の開催に望ましいとされる基準を充たした球場が完成しました。球場の隣には、屋内練習場を設け、市民により利用しやすくして、旧市営球場の時は年間利用者が6,000名だったのに対し、現在は19万人以上の年間利用者になりました。盛岡ボールパークは、地域の核となる施設になりつつあります。
是非、全国の自治体でスタジアムやアリーナを街の中枢施設として、街の活性化の軸にして頂ければと思ってます。このご時世なので、財政的にはピンチだと思います。ただ、ピンチはチャンスです。岩手の様に県と市が協力して、魅力的な施設を造るのは、非常に良いと思います。しかも、街の住人の利用率が高いので、いざというときの防災拠点としても、利用できると思ってます。課題は、自治体の施設では、稼ぎにくいということです。Jリーグのお陰で、全国の自治体を拠点にしたサッカーのクラブチームができつつあります。チームは運営資金が必要です。この運営資金をどう稼ぐのかを考えないといけません。集客ができる施設ができれば、そこに地元のプロチームを呼ぶのが良いと思います。ただ、スタジアムの運営費は自治体に頼るのではなく、スタジアムの運営会社と利用しているクラブチーム他と一緒に知恵を絞るべきです。また、スタジアムは、広島や長崎の様に街の中枢に造るのが理想です。エスコンフィールドの様に街をゼロから造るやり方もありますが、まずは、街の中枢にスタジアムやアリーナを建設し、周辺の商業施設を活性化したいところです。アメリカの大リーグの野球チームでアトランタにあるアトランタブレーブスが、球場を中心にした街を造りました。街中のネットワークは、快適な通信網で整備されており、街に入った瞬間に電子マネーの世界で過ごすことになり、エスコンフィールドは、このやり方に近いと思います。
2024年2月にオープンした広島のサッカースタジアム エディオンピースウィング広島は、街中スタジアムとして、地域活性化に一役買ってます。特徴は、試合のない日もスタジアムに多くの人たちが来ている点です。会議室などを頻繁に使われてます。欧米では当たり前のことですが、試合のない日もスタジアムが稼いでくれてます。欧米では、スタジアムは商談の場でもあります。特にスタジアムのVIPルームは、飲み食いをしながら、商談を進めるのに適した場所です。最近、日本ハムファイターズのエスコンフィールドやV・ファーレン長崎のピーススタジアムなどが、試合日に関係なくお店が開いていて、街の拠点になりつつあります。他の自治体やスポーツチームから見学も多いと聞いてます。街中にスタジアムを建設し、スタジアムと街中をシームレスにネットワーク網を整備し、キャッシュレスで地域通貨を使い、周囲の住民のお金の使い方や活動の仕方を分析し、より過ごしやすい街づくりにすると面白いですね。まだまだ、課題が多いスポーツ施設を利用した街づくりですが、是非、スタジアムやアリーナを街の中枢に据えて、明るい、健康な街づくりを考えましょう。皆さん、知恵を絞りましょう。