1. 主要ページへ移動
  2. メニューへ移動
  3. ページ下へ移動

コラム

記事公開日

「TSMC最高益!!」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2025年4月18日(金)の日本経済新聞に「TSMC最高益 影落とす米関税」という記事が掲載されました。TSMCは、半導体大手の台湾積体電路製造という会社の略称です。この会社が2025年1月~3月期の売上高・純利益ともに最高益を叩きだしたとのことです。1月~3月期は、売上高が前年同期比41.6パーセント増の8392億台湾ドル(約3兆7000億円)、純利益は60.3パーセント増の3615億台湾ドルとのこと。増収増益は5四半期連続となります。米半導体大手エヌビディアなどにAI向けの先端半導体の販売が好調です。

 市場が注目していた今後の見通しについては、2025年の売上高予想は、前年比20パーセント台半ばの増収と従来予想を据え置いた形になりました。TSMCは、半導体の受託生産で6割の世界シェアを持ちます。先端品の歩留まり(良品率)でアメリカと韓国の競合他社を圧倒し、AI向けの生産をほぼ総取りしてます。売上高のおよそ7割がアメリカのアップルやエヌビディアなどの北米の顧客が占めます。そのため、トランプ関税の影響を懸念する声も聞かれます。

 TSMCの創業者であるモリス・チャン(張忠謀)は、1931年に中華民国時代の浙江省に生まれて、1948年に香港に移住。翌年、アメリカのハーバード大学に留学し、2年生になるとマサチューセッツ工科大学に編入しました。卒業後はアメリカの電気機器メーカに就職し、1958年に半導体企業のテキサス・インスツルメンツに転職しました。1983年まで同社に在籍し、その4年後に台湾でTSMCを設立しました。チャン氏は、2023年秋にMITで講演した時に、「優秀な人材の集積」を重視したと言ってます。現在のトップは魏哲家会長で、チャン氏のあとを2018年に継いでます。魏会長が真っ先に手を付けたのは、熊本の2工場とアメリカのアリゾナの工場の建設です。

 魏会長は、2025年4月17日に回路線幅3ナノ(ナノは10憶分の1)メートルの先端品を作るアメリカの第2工場の建設がこのほど、完了したと発表しました。そして、アメリカでの量産を急ぐ方針を示しました。計画中の第3、4工場では、さらに先端の1.6~2ナノ品を作る予定です。第3工場は2025年中に建設を始めます。魏会長は、将来はTSMCの2ナノ以降の先端半導体の生産能力の約30パーセントをアメリカに立地させると言ってます。

 アメリカに工場を設立するのは、トランプの関税対策としては良いと思いますが、すぐ効果はでないと思います。日本もTSMCがある熊本、ラピダスがある北海道は、人材育成に積極的に実施してます。アメリカも人材育成をしないと、半導体工場は軌道にのらないと思います。そもそも、TSMCが日本とアメリカに工場を設置したのは、台湾有事のためのリスク分散です。危機管理を考えての対応です。日本政府もアメリカ政府も半導体製品が有事に入ってこないことを懸念し、工場の設立を後押ししました。

 トランプ大統領が、ウクライナへのロシアの侵略を就任後、すぐに終らせる発言をしてましたが、結局、ロシアを制御できずに調整が難航しています。何が起こるのかわからない世界情勢ですが、不測の事態を考慮し、日々対応していきましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

サービスに関する各種お問い合わせ・資料の請求は、
各メールフォームよりご連絡ください。